中年のラブラドールレトリーバーが吐いて食欲が落ちたという症状で来院。見ている範囲では最近異物を飲んだことはないとのことだったが、実際には1~2か月前におもちゃで遊んでいたものが摘出された。大型犬はかなり以前(半年前に飲んだおもちゃのボールを経験している)に大きな異物を飲み込んでいても胃内にある内はほとんど症状がみられず、腸管に移動して閉塞した時点で急に嘔吐や食欲廃絶などの症状が出てくるので、注意していただきたい。この子は胃内及び小腸に異物が存在し、腸管閉塞を起こしていた。
中年のラブラドールレトリーバーが吐いて食欲が落ちたという症状で来院。見ている範囲では最近異物を飲んだことはないとのことだったが、実際には1~2か月前におもちゃで遊んでいたものが摘出された。大型犬はかなり以前(半年前に飲んだおもちゃのボールを経験している)に大きな異物を飲み込んでいても胃内にある内はほとんど症状がみられず、腸管に移動して閉塞した時点で急に嘔吐や食欲廃絶などの症状が出てくるので、注意していただきたい。この子は胃内及び小腸に異物が存在し、腸管閉塞を起こしていた。
小型犬(12歳)の後肢に約3cmの軟部組織肉腫が見つかりました。術前の組織検査ではグレード1との診断になっています。腫瘍のある部位・大きさを考えると拡大切除は難しいため、できる限り(側方向には半周くらいまで、深部方向も可能な限り)での切除を行うことにしました。
腫瘤を切除すると、術前の想定通り皮膚を寄せることができなかったため、大腿部の皮膚を使用して切除部位を閉鎖しました。これは”内側膝動脈皮弁”と呼ばれるものですが、皮弁の部分の長さが長いほど先端への血液供給が少なくなるために壊死を起こす可能性が高くなります。
今回、術後も順調で毛並みは変わったものの歩行も問題なくできています。
軟部組織肉腫はグレード分類によりますが、low gradeであった場合は側方2cm、底部マージンは筋膜1枚で切除することで完全切除できる可能性が高くなるとされています。また、再発を繰り返すたびに悪性度が増すことが知られています。このことから初回手術でできる限りの切除範囲を求められますが、四肢では皮膚に限りがあり可能な限りでの切除になります。もしも再発した場合は断脚も考えなければいけません。
尿閉で来院し、緊急処置としてペニスの付け根の位置の尿道に詰まっていた小結石や砂状の結石を膀胱に戻す処置をしても、動かなかったため、膀胱切開および尿道切開後、尿道瘻形成術を実施。但し、摘出した膀胱内・尿道内の結石は尿酸アンモニウム90%だったため、肝臓の門脈体循環シャントや原発性門脈低形成/微小血管異形成等の可能性が出てきた。術後にも血液検査を行ったが、肝酵素はやや高値で、総胆汁酸の食後の値がかなり高値だったので、これらの疾患の疑いはある。初日の血中のアンモニア値は正常だったが、アンモニアの異常値を示すものは70%と言われているので、あとは門脈造影CT検査が必要と思われたが、肝性脳症のような症状は今まで食後の症状としては全くなかったようなので、食事療法等で様子を見ていくことにした。
当院では2例目の経験になる。陰部から突出しているペニス様物を会陰切開にて尿道を確保しながら、陰茎骨ごと切除して粘膜下と皮膚を縫合。腹部切開にて卵巣と子宮体のような臓器を全切除。病理組織検査で子宮及び卵巣の位置にあったのは精巣だった。
術前のX線画像
術後のX線画像(一番下)
13歳の雌(未避妊)の雑種犬の乳腺に認められた長軸15cm短軸12cmの腫瘤について、セカンドオピニオンを希望して来院。近くの先生は避妊手術をしても寿命は変わらないので、必要ないと言われており、乳腺部の腫瘤は昨年11月くらいから急激に大きくなってきたが、高年齢なので手術は難しいと言われていた。しかし健康診断のため完全血球検査と血液化学検査を実施したが、ALT値の経度上昇とALP値の中等度の上昇以外、すべて正常値であり、循環器も異常なかった。ただレントゲン検査で左側の肺の中葉に直径1cm大の円形のマス病変があり、乳腺部の腫瘍の肺転移の可能性もあるため、悪性腫瘍であれば、大きな乳腺の腫瘍を外科的に切除をしても、寿命は変わらない可能性がある。またこの大きな腫瘍がいびつになってきたということと、内部が壊死しているような柔らかい部分や色が変色してきているので、近い内に表面が潰瘍化または壊死をして出血してくる可能性がある。そうなれば出血のコントロールが難しくなたり、悪臭がしてきたり、更に本人が痛みを伴ってくる。などのご説明をした結果、この腫瘤の切除を希望された。切除した腫瘤の病理組織検査結果は「乳腺悪性筋上皮細胞種」であった。肺のマス陰影についても、転移の可能性はあるとのコメントだった。
中年を過ぎた雑種犬がバスタオルを引きちぎって、飲み込んでしまい3日後に食欲廃絶、嘔吐、下痢の症状が出現し、来院した。単純及びバリウム造影によるレントゲン検査で胃内及び十二指腸にタオルと思われるものが存在。急遽手術となった。先ずは胃切開により、胃内にあったこぶ状のタオルを切り取ることで、十二指腸側に引きずり込ませた。次に十二指腸の中間部分でさらに切開を加え、そこから前後に停滞していたひも状タオルを引きずり出すことで、全てが摘出できた。
繰り返す膀胱炎があった中年の猫に膀胱内の結石(リン酸カルシウム)の一部が尿道に流れて尿道閉塞を起こしてしまったため、尿道に閉塞を起こした結石を膀胱内に戻した後、膀胱切開により、結石を摘出。その後会陰尿道瘻形成術により、尿道を広げる手術を実施。これにより再度結石が形成されても、小さなうちに尿道から尿と一緒に排出されることになる
犬の会陰ヘルニアは自然治癒が無く、長期になると病態が悪化して、この症例のようにヘルニア孔に直腸や膀胱が入り込んで、排便や排尿に影響が出て、嘔吐や食欲廃絶になり、場合によっては命に関わることもある。このような重度の会陰ヘルニアではより確実な方法を選択する必要があるが、当院では以前から浅殿筋フラップを応用した整復手術で良い成績を得ている。会陰ヘルニアの手術はどんな方法でも再発の可能性があるが、その中でも手術時間が長くかかることもなく、再発もほとんどない。写真はレントゲン検査で、ヘルニア孔に大きな糞塊と膀胱が逸脱しているのが見てとれる。また左側の大きなヘルニアの整復手術中の写真では浅殿筋によりヘルニア孔の修復をしたところ。そして左側の皮膚縫合まで終えた写真。右側の会陰ヘルニアの整復も同様の方法で実施し、皮膚縫合を両側終えた写真が最後の写真
8歳の雄の紀州犬が急に虚脱して座り込んでしまった。貧血しているようでふらふらしているという症状で、緊急来院した。確かに粘膜の色は貧血色だが、聴診で心音が弱く、不整脈もあった。粘膜再充当時間が遅延し、ショック状態だった。腹部は全体に腫大しており、触診すると実質感があった。レントゲン写真とエコー検査で、巨大化した脾臓とカラードプラーにより、脾臓内の血管内の血流がほとんど無いことと、静脈内に血栓もみられた。以上のことから脾臓捻転と診断した。血液検査では中等度の貧血と白血球増多(好中球・単球増多)とストレスパターン、および血小板の中等度低下がみられたが、それ以外の異常は無かった。心電図検査では心室性頻拍が散発的に発現。来院してすぐに静脈点滴を開始し、ショックに対応した治療に入った。検査結果を確認し、脾臓捻転と診断してすぐ、開腹手術を実施。脾臓の捻転を確認し、捻じれを戻しても脾臓の黒ずんだ色は戻らなかった為、脾臓の摘出手術を行なった。他臓器に異常がないことを確認し、閉腹。その後は翌日から食事を食べだし、歩いて外でトイレができるようになった。その後は回復も早く4日目には退院することができた。