この時期に多いトウモロコシの芯の誤飲

体重10㎏に満たない若齢犬がトウモロコシの芯を飲み込んでしまい、催吐処置や内視鏡の異物鉗子(バスケット鉗子)などで摘出することは難しいサイズだったため、胃切開手術となった。                                  毎年、夏場からこの時期に多い異物の為、飼い主の皆さんには十分注意していただきたい。

犬の皮膚に発生した毛包漏斗部角化棘細胞腫

腫瘤が尾部の皮膚に出来て数か月で直径1㎝ほどに増大してきたため、切除生検をした結果、病理組織検査で毛包漏斗部角化棘細胞腫という結果が出た。別名、皮内角化上皮種と言って、よく見られる良性腫瘍だが、このように大きく角化物が堆積して盛り上がったまま乾燥しているものは珍しい。

 

 

 

 

 

 

 

猫の毛玉による食道内閉塞

呼吸が苦しそう、よだれが止まらないという主訴で8歳の猫ちゃんが来院されました。
来院時は開口呼吸をしていたためにまずは呼吸を安定化させる目的で酸素室にて高濃度の酸素吸入を行いました。しかし、酸素化をしても呼吸は落ち着かないため胸部レントゲン検査を行いました。
レントゲン検査では食道内に異物の存在を疑う所見があり、そのために呼吸困難になっていたと考えられました。
普段、異物誤食の場合はまず、催吐処置(薬剤を投与して吐かせる処置)によって、異物を取り出すことを検討しますが、今回の場合は食道を閉塞させていたので、内視鏡を口から挿入し、食道から異物を取り出す処置を行うことになりました。
内視鏡処置の準備をしていたことろ、猫ちゃんが突然口から大きな毛玉を吐き出しました。毛玉を吐き出してからしばらくして呼吸は安定していったので、特別な処置をすることなく、同日中に猫ちゃんは退院しました。猫ちゃんは毛玉によって食道が閉塞していたのです。
大きな毛玉を分解してみると、中にはびっしりと密度の高い毛の束と、少量のキャットフードが押し固められたものが密集していました。猫にはグルーミングといって自らを毛づくろいする習性があり、定期的に毛玉を吐き出す猫ちゃんも多くいます。今回のように、毛玉が大きくなるまで吐き出せずにいると、食道を閉塞させてしまうこともあります。毛玉を作らないためにも、定期的に猫ちゃんにブラッシングをしてあげることをお勧め致します。

 

 

犬の閉塞性子宮蓄膿症

子宮内に多量の膿が貯留してしまった状態が子宮蓄膿症です。
多くの場合、陰部からの排膿がみられるために飼い主様が気づいて病院に来院されます。しかし、陰部からの排膿が無いとまさか子宮に膿がたまっているとは思わないでしょう。

 

「昨日から食欲・元気が無い」という事で、12歳の柴犬が来院されました。

身体検査をしてみると腹部が少し張っている状態でした。血液検査では、白血球数が上昇し、CRP(急性炎症のマーカー)が非常に高値になっていました。レントゲン検査、超音波検査で子宮内に多量の膿が貯留している事が判明したために緊急で手術をすることになりました。
✳︎排膿ができていない場合、膿により子宮が重度に拡張して場合によっては子宮が裂けてしまい腹腔内に多量の膿があふれだします。

開腹手術で卵巣・子宮を摘出した翌日からすぐに元の元気に戻り食欲旺盛になりました。

 

この柴犬さんは、この1ヶ月前に予防接種のために来院されていて、その際に陰部が腫脹している事を指摘しました。どうやら以前より発情兆候(生理)が微弱で分かりずらかったようです。

飼い主様には発情出血後の約2ヶ月以内で食欲がない、元気がない、水をすごく飲む、吐く、下痢をするなどの症状があった場合は『子宮蓄膿症』かもしれないのですぐに来院するように伝えていました。

まさに今回1ヶ月くらい経って、食欲がなくて、元気が無くて、水をよく飲んでいたので

『もしかしたら、先生が言っていたやつかもしれない』

との事で来院されたという流れです。

発情後の卵巣は約2ヶ月間の黄体期がありますが、この期間は子宮内で細菌が増殖しやすい環境になっています。陰部からの排膿が無い場合でも上記のような症状がある場合は、すぐに来院してください。(特に排膿されない閉鎖性子宮蓄膿症の)場合によっては子宮が多量に貯留した膿のために裂けて腹腔内に漏出し、腹膜炎や敗血症で命を落としてしまうこともあります。

 

18歳の猫の後肢(腓骨・脛骨)の骨折整復手術(Dr.長澤)

18歳の日本猫が原因が分からないが、帰宅したら後ろ足がおかしくなって立てない状況だった。病院で検査した結果脛骨と腓骨の完全骨折だった。軽度の慢性腎不全があり、骨密度は低く皮質骨も菲薄な為、軽い外傷でも骨折する可能性はあった。整復手術はロッキングプレートでしっかり固定することにした。それでも高齢な為、ソフトな外固定も併用した。また骨癒合にも通常より時間がかかるのと、その分合併症も起こりうるため、慎重な管理と術後の長期の安静が必要と思われるが、ある程度の運動も必要なので、無理のないリハビリ運動をさせて頂くことになった。

 

手袋の誤食

ガーデニング用のゴム手袋を誤食してしまったとの主訴で5ヶ月のゴールデン・レトリーバーが来院されました。誤食してからそれほど時間が経過していなかったため、催吐処置(薬剤を投与して吐かせる処置)を行いましたが、ゴム手袋は吐出できませんでした。

次に、内視鏡処置で取り出せなかった場合は開腹手術を行う必要があることをオーナー様に説明し、全身麻酔での内視鏡処置を行いました。内視鏡を食道から胃に入れてみると、ゴム手袋は腸に流れ込むことなく胃の中にあったため鉗子と呼ばれる器具でつかみ引っ張り出すことができました。誤食してしまった異物は通常、数時間程の間、胃の中に貯留し、半日以上経過すると、小腸・大腸へと流れ、便となって排泄されます。しかし、異物が消化不能な物で小腸の直径より大きなものである場合、小腸で詰まり小腸閉塞を起こします。

小腸閉塞なってしまった場合は開腹手術となり、動物の体へもかなりの負担がかかります。もしもペットが異物を誤食してしまった場合は早めに動物病院へ連絡してください。

異物の迷入(竹串)による膿瘍

夜中に高齢のウェルシュコーギー焼き鳥の竹串を飲んだかもしれないと、動物夜間救急病院に行ってレントゲンと内視鏡検査をしてもらったが、上部消化管には何も見当たらなかった。しかも、自宅に竹串が有ったようだという報告があった。しかしその後も状態が悪く、元気食欲無し、40℃の発熱、CBCで好中球増多があり、点滴と抗生剤の投与で体温は微熱にはなったが、食欲は戻らなかった。6日後肩の皮膚の色が変色し、壊死した部分が穿孔して、何と中から血膿と一緒に竹串が出てきた。数日前のレントゲン写真を見ると、気管や食道の背側にたくさんのガス像が存在していた。つまりそこに細菌感染があったことになる。治療後の写真はそのガス像は消失している。

 

 

 

異物混入(雑草の種子)による膿瘍

【異物混入による膿瘍】

首にできものがあるとの主訴で9歳のスタンダード・プードルが来院されました。

できものは肉芽様組織であり一部膿瘍となっていました。細胞診検査では細菌感染が見られたため追加検査として細菌培養検査を行い、抗生物質治療を行うこととなりました。

抗生物質により腫瘤は縮小していましたが、完全には良くならず再び細菌培養検査を行い、患部も切開洗浄を繰り返し行うこととしました。徐々に良くなり肉芽組織も縮小していたのですが、しばらくすると再度袋状の膿瘍となりました。

膿瘍を切開し綿棒で内部を拭うと【種子】が摘出され、その後の治療では急速に改善が見られました。

膿瘍内に異物があると、抗生物質を使用していても治癒しません。

どのようにして皮下に種子が入り込んでしまったかははっきりしませんが、激しく遊んでいる際に入り込んでしまったと思われます。

尿管結石による尿管閉塞が起因した膿腎症を伴った猫に左腎臓及び尿管全摘手術を実施した1症例

FIV陽性の猫が元気、食欲無し、嘔吐を伴って来院。T40.5℃の高熱、好中球の左方移動と単球増多を伴う白血球増多、X線検査で左側尿管に2つの尿管結石、エコー検査にて水腎症・尿管の拡張と2か所の尿管結石を確認。静脈輸液及びABPCとENFXの静脈投与を2日間投与しても熱はあまり下がらず、一般状態もあまり改善しなかった為、3日目に開腹手術による左側腎臓尿管全摘手術を実施。術後翌日から熱が下がり始め、2日後には正常体温となり、食事を食べ出した。術後3日目の血液検査で腎パネルはすべて正常、白血球もほぼ正常になったため、静脈点滴から皮下輸液に切り替え、翌日から通院になり、順調に回復した。摘出した腎臓を分割してみると拡張した腎盂には膿性の粘性を帯びた液体が大量に出てきた。細胞診をしてみると大量の細菌と変性した核を持った好中球と細菌の貪食像が多く見られ明らかな膿腎症となっていた。恐らくもう1日~2日手術が遅れていたら、敗血症や腹膜炎などが併発して救うことが出来ない状況になっていただろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腸管穿孔による腹膜炎と小腸の多巣性、化膿性肉芽腫性腸炎を伴ったフェレット

元気消失・食欲不振・嘔吐・下痢が続き、対症療法や輸液で治療してもあまり改善がみられず、エコー検査で小腸内で流動物の停滞が認められた為、探査的開腹手術を実施。すると小腸の一部に穿孔があり、対側の小腸壁がその部分に癒着していた。また他にも腸間膜が小腸に癒着していたが、そこは腸壁が帯状にクリーム色に変色していた。まず穿孔した障壁の穴を縫合して閉鎖し、変色していた小腸は切除して病理組織検査をすることにした。病理所見は多巣性、化膿性肉芽腫性腸炎という結果だったが、コメントの中にフェレットは猫伝染性腹膜炎ウイルスと類似した病変を形成することがあるので、コロナウイルス感染症の可能性があるということだった。