ネコちゃんは1〜2歳くらいで性成熟を迎え、心身ともに成猫になります。
1〜6歳までは「青年期」といわれる時期にあたり、健康でアクティブな毎日を送ることができる時期です。
このページでは飼育し始めから10歳程度までのネコちゃんとの暮らしで気を付けていただきたいことを記載しています。
基本的な予防や病気については、「ネコちゃんの健康管理」についてのページをご覧ください。
ネコちゃんを飼育する際、理想的なのは完全室内飼育です。外にネコちゃんを出してしまう事で、交通事故にあったり、他のネコちゃんとケンカをして怪我をしたり、その際にウイルス性の伝染病に感染してしまうこともあります。
外に出る習慣が既にあるネコちゃんでは難しいですが、これからネコちゃんを飼われる場合は完全室内飼育をお勧めします。
屋外でネコちゃんが出会う危険には、以下のようなものがあります。
ネコちゃんは縄張りを持つ動物です。自分の縄張りに侵入してきたネコと激しいけんかをしてしまうこともしばしばあります。ネコちゃんの爪や歯はするどくとがっていますので、外からは小さな傷に見えても、奥深くまで細菌が入り込んでおり、大きく腫れて発熱してしまうこともあります。その際にウイルスが体内に侵入し、病気にかかることがあります。
ノミやダニは、草むらや他のネコから移ります。それらは強いかゆみを引き起こすだけでなく、瓜実条虫のようなおなかに寄生する虫を媒介することもあります。また、人にも感染してかゆみを生じ、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)のような重篤な病気を媒介する危険もあります。
感染ネコちゃんとの接触やけんかの咬み傷から、以下のようなウイルス性の病気にかかるリスクが高まります。
猫白血病ウイルス感染症 (FeLV) |
白血病や腫瘍の原因となるだけでなく、免疫力を低下させ日和見感染を引き起こします。全てのネコが発病するわけではありませんが、発病すると数ヶ月から数年で死に至ります。 |
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猫免疫不全ウイルス感染症 (FIV) |
猫エイズとも呼ばれ、感染初期には発熱、下痢、リンパの腫れなどの軽い症状を示し、その後は無症状の期間が数年に渡って続きます。そのまま寿命を全うできることもありますが、日和見感染や腫瘍を生じるエイズ期を迎えると死に至ります。 |
猫汎白血球減少症 (FPLV) |
嘔吐、下痢、発熱等の症状を起こし、さらに白血球の減少により、他の疾患をひきおこしやすくなります。特に子猫で致死率の高い病気です。 |
猫ウイルス性鼻気管炎 (FVR) |
猫風邪を起こすウイルスのひとつで、くしゃみ、鼻水、よだれ、目やに等の症状を起こします。症状が重い場合には、発熱、食欲不振により死亡することもあります。また、回復後も体の中に残り、抵抗力が弱まると再発します。 |
猫カリシウイルス感染症 (FCV) |
猫風邪を起こすウイルスのひとつで、猫ウイルス性鼻気管炎と同様の症状に加え、舌などの口の中に潰瘍を生じて痛みをおこすことがあります。 |
ネコちゃんを完全室内飼育でも快適に過ごさせてあげられる工夫をいくつかご紹介します。
室内飼育で気をつけてあげたいことは「運動不足」です。できる範囲で工夫をしてネコちゃんが動ける環境を作ってあげましょう。
キャットタワーを設置する、上下の運動ができるように、お家の中で一番高い所、棚やタンスの上に乗れるようにしてあげるなど運動できる環境を作ってあげましょう。また、一番高い所にお気に入りの毛布や座布団、寝床を置くなどしてあげるのも効果的です。
食事を遊び感覚で食べれるようにしてあげることも効果的です。ペットボトルなどのネコちゃんが転がせるような空の容器にご飯1粒が通る穴をいくつか開けます。その中にご飯を入れて与えてあげましょう。
食器から一度に食べるよりも時間がかかり、運動になります。
ネコちゃんのおもちゃでたくさん遊んであげることも運動不足を防ぎスキンシップも取れる大切な方法です。 ネコちゃんの気分や好みに合う、様々なおもちゃを用意してあげましょう。
爪とぎは室内飼育で困ってしまう問題の1つであると思います。いくつかの工夫をご紹介します。
爪の外側の房をはがすのが主な目的ですが、そのほかにもマーキングの役割もあります。そのため、ネコちゃんがよく通る道や目立つ所に爪とぎを設置することをお勧めします。初めは少し多めにそして垂直面に爪とぎを設置すると、して欲しくない所で爪とぎされるのを防ぐこともできます。
3.その他の環境作り
お水は常に新鮮な水をいつでも好きな時に飲めるように、ネコちゃんがよくくつろぐ所の近くに置いてください。
日光に当たることで体内リズムを整えるなど良い刺激になります。熱中症に注意して自由にひなたぼっこできるようにしてあげましょう。外の景色を眺めることもネコちゃんのストレス解消になります。
完全室内飼育とはいえ、安全なわけではありません。好奇心が強く探検好きなネコちゃんは家の中であらゆるいたずらをします。事故を防ぐためにも家の中での安全対策を徹底しましょう。
水回りの安全対策
・バスタブの蓋、浴室の扉はしめておく
キッチン周りの安全対策
・コンロ周りに近づけない
・シンクでの漂白剤のつけ置き洗いの放置をしない
誤飲誤食の防止
・薬や薬剤、洗剤の蓋をしっかり締める
・飲み込める大きさのものや、ひも状の ものを放置しない
電化製品の管理
・熱を発する製品には近づけない
・コンセントにスプレー行為をしないようコンセントは隠す
観葉植物にも注意
・中毒性のある観葉植物などを置かない
・花びんの水を飲むだけでも中毒になることもあります
完全室内飼育のネコちゃんにとって、多いお出かけ先は病院になります。そんな時だけキャリーを使っていると、ネコちゃんにとってキャリーは嫌なものでしかなくなります。
動物病院に行く際にもスムーズにキャリーに入ってくれるようになり、お出かけが楽になります。
①ケージのドアは出し入れし易いような大き目のもの
②ネコちゃんに合ったサイズのケージ、大きすぎないでぴったりサイズのもの
③天井(ルーフドア)の開閉が可能で上からも出し入れができるタイプ
④ネコちゃんがドアを開けても自分から出てこない時に便利な、ケージ全体の上半分が取り外しができるもの
⑤ケージ内には乾いて快適でしかも慣れた敷物(タオルやブランケット)を入れて連れて行く。できればフェリウェイ(病院で扱っています)というフェロモンのスプレーを出かける30分以上前に敷物に噴霧しておくと、精神が落ち着いた状態になりやすいです。
交通事故や落下事故
車との接触事故や高所からの転落事故では、出血や骨折、内臓の損傷など、強いダメージを受けることが多いです。一命をとりとめても、下半身不随になってしまうこともあります。特に発情期のオス猫は、落ち着きをなくし、交通事故にあうリスクが高まります。