肉球にできた悪性黒色腫(メラノーマ)

11歳近いミニチュアダックスフントの左前肢の肉球の一部が腫れて気にしていると言うことで来院。まずは肉球の腫瘤部のニードルバイオプシーを実施し、心臓を含めた一通りの検査をさせていただいた結果、細胞診でメラニン顆粒を含む腫瘍細胞が多数観察されたため、手術をお奨めした。以前から腫瘤はあったが2件の動物病院で心臓が悪くて手術が出来ないと言われていた。実際、聴診で心臓の雑音はリバインの分類で5/6~6/6でかなりグレードは高そうでしたが、心臓の超音波(エコー)検査で検査してみると心臓の機能としては麻酔に耐えられないほどではなかった為、念のため心臓の治療薬を前の病院で内服させていたものを変更と追加をさせていただき、2週間ほどして心臓の肥大改善の確認等をした上で切除手術をすることにした。腋下リンパ節や胸腔内のリンパ節などの腫大は認められなかったが、メラノーマであれば、遠隔転移も考えられるため、断脚手術までしないと再発が防げないかもしれないと言うご説明までして、ご相談の結果、周辺からの部分切除をする事になった。病理組織検査の結果はやはり悪性黒色腫(メラノーマ)だった。一般的に口の中や粘膜と皮膚の境や四肢末端に発生したものは悪性度が高いと言われているので、組織標本は完全切除されており、血管内の腫瘍細胞の浸潤も見られなかったが、定期的な観察に十分注意する必要があります。写真は切除前と切除後の状態です。歩行にはほとんど問題はないでしょう。

 

 

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