ボクサーの右大腿部内側の大きなアブセス

 

恐らく4~5日前にあったとみられる犬同士のケンカの咬み傷が原因のアブセスと思われる大腿部内側の大きな腫れと熱感および40.2℃の高熱を伴ったボクサーが来院した。その時点では血液検査の結果から敗血症になってきていたため、元気食欲がなく、動きたがらなくなっていた。大腿部外側には数ヶ所の咬まれ傷と思われる痂皮を伴った刺創が存在していたため、その傷から感染を起こしたものと考えられる。針生検を実施したところ白血球(好中球)が大量で細菌の貪食を伴っていた為、アブセス(膿瘍)と診断し、すぐに抗生物質と静脈点滴を始め、全身麻酔下で切開・排膿し、陰圧の状態で吸引廃液ができる装置を装着し、バンデージで固定した。下の写真はそれを順に並べてある。 

 

  

 
 犬の咬傷は表面は小さな傷でも皮膚の下の組織と血管が顎の力でズタズタになっているため、数日経ってから感染症による化膿が進行してくる。そのため敗血症になって命を落としてしまう例が多々ある。咬まれ傷を負ったら、すぐに病院に連れて行き、皮下の損傷の度合いによっては傷の中をきれいにデブリートして貰った後、全身的な抗生物質の治療を早急に実施することをお奨めいたします。  

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