10歳の高齢犬が高熱と元気食欲がないということで来院。血液検査では白血球の激しい上昇、炎症マーカーであるCRPが二桁の上昇、肝酵素の上昇などがあった。尿検査では潜血反応があり、変性した好中球が一面に存在し、細菌尿になっていた。レントゲン(上段の写真)では腹腔内のスリガラス状の陰影があり、腹膜炎を疑わせた。エコー検査(中段の写真)で確認したところ前立腺肥大と嚢胞状の液体貯留が多く認められた。静脈点滴による輸液と抗生剤を主体とした治療後、手術を実施。腹腔内は血様の膿が溜まっており、サクションで吸引後前立腺の嚢胞部分(下段の写真)から液体を吸引し、腫大していた前立腺は内部が化膿していたため、内側の化膿壊死部をくりぬいて切除した。腹腔内は3リットル以上の生理食塩液で洗浄した後、閉腹し、最後に去勢手術を実施した。切除した前立腺組織の病理組織検査の結果は前立腺の化膿性炎症と前立腺嚢胞だった。前立腺の肥大は去勢手術によって、予防あるいは治療ができます。若いうちに去勢手術をすることで、前立腺肥大が予防できると同時に以下のような行動学的異常を回避できます。
雄犬(テストステロンの影響) 雄猫(テストステロンの影響) |
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