犬の重度な会陰ヘルニアの整復手術

他院にかかっていた方がお知り合いの紹介で当院に受診してきた。7歳の犬で排尿や排便に異常があり、腫れているお尻の方を触れるだけでも痛がって怒るという主訴である。肛門の左右に大きな膨らみがあり、右は直腸憩室という広がった腸になって、そこに糞塊が溜まった状態、左は膀胱が会陰部から外に逸脱しており、排尿もうまくいかない状態でした。排尿障害は一ヶ月も前から症状があったという。またかなり前から排便が苦しそうで、飼い主が手で溜まった糞塊を圧迫して出していた。他院の獣医師は手術をしてもすぐ再発してしまうから、やらない方が良いという説明だったという。確かに再発する可能性はないとはいえないが、ここまで重度になることが予想されるような会陰部の広い開口部があり、排尿排便に苦しんでいる場合は手術以外に選択肢はないだろう。またこのように重度の場合は結腸固定術と精管および前立腺の固定術も併用し、さらに会陰部のヘルニア輪があまりにも広いので、当然内閉鎖筋の転位術も併用する必要がある。  
     

 

左の黒いガス像が直腸憩室、右の造影剤で白く丸く見える部分が膀胱

 

 

白く丸く見えるのが逸脱した膀胱

 

 

術前の肛門と会陰部の状態

 

 

結腸の腹壁固定、精管と前立腺の腹壁固定を示す

 

 

 

術後の様子

 

 

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