左房破裂を起こした僧帽弁閉鎖不全症の犬が3日目に退院

数年間、慢性僧帽弁閉鎖不全症の内服治療をしていた10歳半のキャバリア・キングチヤールス・スパニエルが咳が酷くなったということで来院。2日後にお預かりをしてまもなく状態が悪化。水平眼振や後弓反張、横臥となり、ショック状態、意識消失となった。また心電図検査では心室性期外収縮が連発している状態だった。エコー検査で心嚢内に液体が貯留し、いわゆる心タンポナーデという状態だったため、すぐに心嚢水(血液)を抜去(135cc)。その後リドカインという抗不整脈剤やドパミン、ドブタミン等の強心剤で、次第に改善してきたため、数年間内服していた血管拡張剤2種類とピモベンダン、利尿剤等を再開し、24時間監視で血圧測定、心電図モニター、酸素分圧、尿量モニター、エコー検査等を継続した結果、順調に改善、意識状態も戻り、神経症状も消失し、食事や飲水ができるようになったため、来院3日目に退院できる状態にまでなった。通常左心房の破裂を起こした場合、処置をする前に急死をすることが多く、当院の循環器疾患専門の担当である滝沢獣医師の献身的な集中治療によって、退院できるまで回復した。その後は毎日朝から夜までお預かりして治療を続けた。8日間は安定していたが、9日目に咳が出だし、再度心不全の状態になり、肺水腫を起こしてきたためその治療に入ったが、飼い主の方のご希望で安楽死を選択され、ご希望に沿った処置をした。飼い主の方からは、「一度死にかけた状態が、一時的にも回復し、歩けるようにもなり、食事も食べれるようになったので、感謝しております。」とおっしゃっていただきました。緊急時だったため、画像データがなく、心嚢水を抜去する前と後のレントゲン写真がありましたので、アップしてみます。上から側面像で術前と術後、腹背像で術前と術後になります。何れも術後の心陰影が縮小しているのが分かる。  
 

 

 

 

 

 

 

 

コメントは停止中です。