老齢猫が最近むせるような咳をして、苦しそうだということで来院した。以前の症状を聞かせていただくと、数ヶ月前から「いびき」をかくようになっていたらしいが、食欲も元気もあったので、それほど気にしていなかった。血液検査では大きな異常は無く、頚部X線検査で喉頭周囲の腫瘤により、気管入り口が極端に狭窄していた(下の写真)。元々外猫さんなのと気管入り口の狭窄のため、気管チューブも入れることが出来ないため、永久気管切開または気管切開による気管チューブを介しての呼吸をしてもらうしか助けることが出来ない状態です。現在ICUの酸素室に入っており、安静にしている限りは、何とか呼吸が落ち付いていますが、外に出した途端に一気に呼吸困難になってしまうので、腫瘤部の細胞診すら出来ない状態なので、とりあえず細菌感染によるものか、猫に多いリンパ腫ならば、反応があるかもしれないので、抗生物質とステロイドを投与していますが、現在のところあまり変化がありません。いずれ呼吸不全に陥ることになる事を飼い主の方もご存知ですが、酸素室に入っていると呼吸が落ち着いているため経過観察となっています。
この症例の投稿をした数日後に、飼い主の方と何度かご相談をしてきたが、結論として呼吸不全になって、最悪の状況になるのを待つよりもそろそろ限界になってきた今、楽にしてあげるのがこの子にとって一番良いのではないかということになった。