異物による腸閉塞とその異物に関連した線状異物と腸重積を伴った犬

3歳の雑種犬が1~2週間前より、元気食欲が無くなってきて、2~3日前から嘔吐が酷くなり、全く食べなくなってきたと言うことで来院した。かなりの体重減少と脱水がひどく、衰弱していたため、すぐに静脈点滴を実施。中腹部の触診で腸管の異物を疑うマス(塊状物)が触知され、血液検査では総白血球数が4万、しかも好中球の左方移動と単球の増加を伴い、かなり重度の炎症が予想された。腹部X線検査(写真①②)では中腹部に金属様の異物が3箇所ほど見られ、腸管の異常ガスも確認できた。その日の夜手術となったが、開腹して腸管全体を観察すると(写真③④⑤)小腸全体に線状異物特有の手繰られてループ状になっていたのと、線状異物で腸管のほぼ全体に粘膜の裂傷があった。また腸管の3箇所にタオルの塊と思われる異物とそれに絡まるように金属片が巻き込まれていた。さらにそれらの異物がすべてひも状となったタオルの繊維で繋がっていたため、大小5箇所の腸切開をして異物をつなげていたひも状物を切断(写真⑥)した。また同時に腸重積を伴っていたため、それを修復し(写真⑦)全ての異物を摘出した(写真⑧)。術後は翌日は水のみ、2日目から消化の良い処方食を流動食として少量から始め、潰瘍治療剤などと併用しながら、しだいに増量していった。今日で4日目だが食欲は100%で便の確認をして良好であれば、あと1~2日で退院となる。

写真①②

写真③④⑤

写真⑥

写真⑦

写真⑧

 

 

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