5歳の雑種犬が2~3日前から食欲不振、嘔吐が見られ、昨日から元気消失、飲水後にも嘔吐があるということで、来院した。血液検査では好中球の増多がみられ、ALPの上昇もあったが、その他の血液化学検査では異常がなかった。腹部単純X線写真では特に異常ガス像が見られなかったため、バリウム造影検査を実施した。下の写真は4時間後だが造影剤内服30分後から空腸の途中(円で示した部分)からバリウムが流れていない。また楕円で示した箇所には造影欠損を常に示していた。そこで何らかの空腸の閉塞を疑い、手術を実施したところ、開腹時(写真②)に腹腔内に血様の液体が貯留していることが判明。空腸を体外に露出させたところ(写真③・④)空腸遠位に異物が存在していた。また空腸の20cmほどの長さの色が黒っぽく変色しており、一部腸管が壊死しているところから腸内容物が漏出していた。そのため変色している部分を全て切除し、端端吻合をした。切除した空腸が写真⑤、取り出した異物が写真⑥。また別の空腸にもう1つ異物が触知されたため、切開摘出した。(写真⑦)手術が終わった時点の全体写真が写真⑧。術後は食事療法等により順調に経過、5日後には無事に退院となった。
写真①
写真②
写真③
写真④
写真⑤
写真⑥
写真⑦
写真⑧