以前にも数頭経験したことがありますが、今回はKDPで保護されたミニチュアダックスで、公園にリードを縛りつけたまま、捨てられたという可愛そうなワンちゃんでした。恐らくこの様な病気になっていたので、捨てていったのかもしれません。健康状態は悪くぐったりしており、低体温と血液検査で白血球の増多と左方移動、ソケイ部に大きなヘルニアがあり、超音波検査で子宮と思われる管腔臓器に液体の貯留があったため、手術になった。静脈点滴をすぐに開始し、その日の夜に手術となった。切開してみるとやはりソケイ部内に子宮全体が入り込んでおり、すでに膿がソケイ部内に漏れ出ていた。卵巣子宮を結紮離断し、ヘルニア内の生食による洗浄をした後、ヘルニア孔を縫合閉鎖し、通常通り皮下皮膚の縫合。次に正中切開により開腹し、腹腔内に漏れた膿を温めた大量の生食で洗浄を繰り返し、最後に閉腹し、通常通りの皮膚縫合で終了した。術後の経過は良好で次第に体力は戻ってきている。
写真①術前 写真②ヘルニア部切開
写真③ヘルニア内の子宮
写真④卵巣子宮切除及びヘルニア輪の閉鎖後
写真⑤術後