14歳の猫の回腸の血管肉腫

6月頃から食欲が低下していたが、12月中旬から食欲がなく1日2~3回嘔吐するようになった。体重は当時5.5kgだったのが現在4.95kg。体温39.7℃で白血球数が26000と高く特に好中球が高かった。その他の血液検査結果は異常がなかった。触診で下腹部に柔らかめのマスが触知されたのでレントゲンとエコー検査をしたところ、右下腹部に楕円形の陰影(写真①②)、腸壁の肥厚と腸管内腔に突出したマス(写真③)を確認した。腸管の通過障害が疑われたため、開腹手術による腫瘤切除(写真④)を実施した。15cm程の腫瘤を含めた腸管(回腸)を切除(写真⑤)した。切除した腫瘤の割面(写真⑥)は腸管内腔に突出した腫瘤がわかる。

 

 

 

 

 

写真①②

 

 

 

 

 

 

 

写真③

 

 

 

 

写真④

 

 

 

 

写真⑤

 

 

 

 

写真⑥

 

 

 

病理組織検査結果は血管肉腫だった。猫の血管肉腫そのものが発生率が少ないが、小腸にできた血管肉腫はかなり珍しい。もともと血管の内皮細胞に由来する悪性腫瘍なので悪性度は高い。腹腔内の他臓器への転移や心臓など全く離れた器官や臓器に転移する可能性もある。予後には充分注意が必要と言える。

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