雑種猫が交通事故で全く動けない状況で来院した。ショックの状態だった為、静脈確保により急速点滴、また呼吸が荒く努力呼吸をしており、右側の心音が聞き取り難かった為、胸腔内の液体の存在か横隔膜ヘルニアを疑った。呼吸が落ち着くまで酸素室で酸素化をしてから、X線検査をしたところ右側の横隔膜ヘルニアが判明。また骨盤の複雑骨折と尾椎の骨折もあった。血液検査では肝酵素の上昇から肝臓の損傷が考えられた。血尿もあり、泌尿器の損傷もあったが、膀胱破裂や尿道の裂傷は無かった。翌日に再度血液検査をしたところヘマトクリットの数値が一晩で15%も下がったため、輸血を実施した。状態が安定したので、輸血をしながらまずは横隔膜ヘルニアの修復手術を実施。術後の経過も良かったので、さらに2日後(大晦日)に骨盤骨折の整復手術を実施(DCPと螺子を使用)。本日は鎮痛剤もしっかり使用しているせいか落ち着いていた。もともと緊張し易い性格な為、食事が食べられないことが想定されたので、経食道チューブを装着したので、本日はチューブを介しての給餌となったが、嘔吐もなく上手く受け入れてくれた。今後は尾の動きが無く麻痺しているので、この状態が続くようなら将来を考えると断尾も検討しなければならないでしょう。写真①②:胸部X線写真の術前 写真③④:胸部X線写真の術後 写真⑤:術中の腹腔側から横隔膜の穴から胸腔の肺が見える 写真⑥:骨盤の骨折部位のX線写真・腹背方向で術前術後 写真⑦:骨盤の骨折部位のX線写真・右下側方の術前術後 写真⑧:尾椎の骨折部位を示したX線写真 写真⑨:骨盤骨折の修復手術術中写真⑩:骨盤骨折の手術中の情景
写真①②
写真③④
写真⑤
写真⑥
写真⑦
写真⑧
写真⑨
写真⑩