16歳の雄のミニチュアダックスフンドが最近肛門の右側に腫れ物が出来て大きくなってきたという主訴で来院された。腫瘤の成長が早めだったことと、排泄に支障を来たす可能性もあったこと、さらに16歳にしては血液検査上も画像診断上も問題なく、健康であったことから、飼い主の方との相談で摘出手術をすることになった。もちろん再発予防の意味も含めて去勢手術も同時に実施することになった。摘出後の病理組織検査では肛門周囲腺腫だった。これは良性腫瘍であり、雄は雌に比べ5.6倍も発生率が高い。去勢をしないと術後の再発率が40%だが、去勢することにより発生率が8%も低下する。但し腫瘍自体が完全に切除されていても、周囲に残存する腺組織から新たな腫瘍が発生する場合があるので術後も要注意だ。
下は術前、術中、術後の写真。