老齢の犬の前立腺膿瘍の外科手術

老齢のミニチュアダックスフントが最近やや頻尿で尿が出にくい様にみえる。またいつもと違うところに排尿をしたり、血尿になったりしているということで、診察をしたところ、血液検査では左方移動を伴う好中球増多、単球増多があり、レントゲン検査とエコー検査(写真①)により、前立腺に液体が貯留しており、かなり濁ったものが溜まっているようだった。尿検査では潜血反応があり、細胞診では変性した好中球が多数存在していたので、膿尿と言っても良い状態だった。これらの結果から前立腺の膿瘍と診断し、腎機能が低下していたこともあるため、静脈点滴と抗生物質等の治療をしてから、外科治療をすることになった。輸液治療3日後、腎臓の数値が改善したところで手術となった。前立腺を露出させ(写真②)、膿瘍内の膿を吸引(写真③)、吸引した膿は緑色を呈していた為(写真④)、前立腺に切開を入れ、膿瘍内をガーゼで壊死組織などを除去し(写真⑤)、もう1ヵ所の切開創から洗浄液を入れて、完全にきれいな液になるまで洗浄吸引を繰り返す(写真⑥)、その後大網を前立腺内を貫通させ(写真⑦)、反対側から出てきた大網を縫合した。最後に腹腔内全体を大量の温かい生理食塩液で洗浄し、局所の鎮痛剤を使用して閉腹した(写真⑧)。術後は経過が良く翌日から食べ始め3日目には食欲も元気も出て、以前よりも良い状態で退院した。

写真①         写真②

 

 

 

写真③        写真④

 

 

 

写真⑤        写真⑥

 

 

 

写真⑦       写真⑧

 

 

 

 

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