中年齢のミニチュアダックスフンドの閉鎖性喉頭炎

中年齢のミニチュアダックスフンドがここ数日呼吸が苦しそうになってきたという主訴で来院した。患者は元気食欲がなく、吸気時の努力呼吸をしていたため、上部気道の狭窄や閉塞が疑われた。咽喉頭部のX線検査で喉頭部に円形の腫瘤が内側から突出しているのが分かった。鎮静剤と酸素療法で呼吸は安定するが、酸素室から出るとすぐに呼吸困難になる為、麻酔下で喉頭の内視鏡検査をした。円形の赤みを帯びた肉質の腫瘤が観察された。針生検では好中球とリンパ球が散在して見られたのみなので、炎症と浮腫がそこに存在していると判断し、検査後はICUで管理し、プレドニゾロンを投与したところ、急激に呼吸が改善し、3日目には退院していただき、数日のプレドニゾロンと、その後の暫減により、現在も全く症状がなく、通常の生活をしている。

写真はレントゲン写真の治療前と治療後の喉頭部。そして内視鏡で口腔内を観察している写真には喉頭を完全に閉鎖している喉頭嚢の腫大した赤い(ポリープ様)腫瘤が見られる。

一見、反転喉頭小嚢(あるいは外反喉頭球形嚢)にも見えるが、短頭種ではないのと元々良く吠える性格であること、細胞診で炎症細胞だけが見られていたこと、腫瘍細胞が見られていない、ステロイドによく反応し全く腫れている部分がなくなったことなどから、閉鎖性喉頭炎と診断した。

 

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