老齢の雑種犬の脾臓捻転

主訴:昨日より急に元気食欲がなくなり、ぐったりしている。現症:腹部は腫大し、心拍数が増加しており動かない。血液検査:Ht16.8%、WBC49920と高く、特に好中球・単球・好酸球が増加していた。肝パネル・腎パネル共に正常。NaとClの低下。ALKPとGLUが中等度の上昇以外は異状なかった。X線検査とエコー検査:当初、脾臓の腫瘍や過形成、骨髄疾患や免疫介在性溶血性貧血までを疑っていたが、脾臓全体の重度肥大と少量の腹腔内液体貯留、脾臓内の血流の欠如などから脾臓の捻転を疑った。治療経過:飼い主との相談の結果、輸血を実施した後開腹手術を実施した。その結果、やはり巨大化した脾臓が現れ、しかも脾門部で脾臓が360°回転しており、脾臓の動静脈はもちろん、腸間膜も癒着し一緒に回転し、膵臓の左葉も完全に捻じれて、血行障害により赤黒く変色していた。回転した巨大脾臓を含め、腸間膜や膵臓の左葉を元に戻しても、血行はもどらず、血管内には血栓様の凝血塊も多数みられたので、これらすべてを切除摘出した。術後は徐々に元気に回復し、食欲も次第に戻り、順調な経過をたどった。

写真はX線写真とエコー検査の脾臓の無血行を示し、さらに術中のものと取り出した脾臓・膵臓(脾臓に癒着していた)・腸間膜。

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