1例目は雌の6歳のラブラドールレトリーバーで前胸部にできた腫瘤が細胞診で肥満細胞腫と診断した。但し、肥満細胞の悪性度はそれほど高くなかったが、皮膚に割合余裕のある部位だったため、手術法は縦横2㎝のマージンと深さは筋膜までの切除とした。また浅頚リンパや腋下リンパの腫大はなかったので、リンパ節郭清はしなかった。2例目は7歳の雄のラブラドールレトリーバーで口唇部にできたやはり肥満細胞腫だった。ただ下顎リンパ節がやや腫大していた為、針生検(FNA)をした結果、複数個の肥満細胞が検出されたので、リンパ節郭清を実施した。一般的に口唇部に発生する肥満細胞腫は比較的悪性度の高いものが多いとされているため、より拡大手術をすることとした。従って口唇の全層切除を実施した。整形上やや変形した顔つきになることと下顎の犬歯が上唇に接触するため犬歯を削るようにしたが、飼い主の方の許容範囲の結果で満足が得られた。
写真は上段から順に1症例目と2症例目の手術中と手術後の状態を示す。