12歳の大型純粋犬の歯肉の腫瘤に飼い主様が気付かれて、来院した。右上顎犬歯の尾方に第一前臼歯が隠れるくらいの大きさ(約1.5cm)の腫瘤が存在していた為、その腫瘤に対してFNAによる細胞診をまず行ったところ、非上皮系の悪性と思われる細胞が見られた為、診断をより確実にするため、上顎部分切除術を実施することになった。そこで術前検査を一通りした結果、エコー検査により、脾臓の腫瘤が存在することがわかった。かなり低エコ―の部分もあり、いつこの腫瘤が破れて腹腔内出血が起こるか分からないので、まずはこの脾臓の大きなマス病変に対して脾臓の全摘出手術を行ない、同時に歯肉腫瘤のバイオプシーを実施し、その後CT検査により腫瘍の周囲への浸潤や上顎骨の融解等を評価した後、上顎部分切除による歯肉の腫瘍摘出手術を実施することにした。脾臓の病理組織検査は過形成性結節、また歯肉の腫瘤は歯槽骨の骨融解像もあり、悪性の非上皮性腫瘍をうたがっていたが、悪性メラノーマの疑いという診断となった。 写真は歯肉の上顎部分切除の術中と術後。