高齢のダックスフンドの鼓室胞切開術「真珠腫性中耳炎」

13才のMダックスフンドが3月に他院で慢性外耳炎と中耳炎で全耳道切除術を受けていた。4月末位から首を振った時のふらつきや飲水後に急に転倒したりということが多くなってきたということで、来院された。来院時には左側の斜頸や首の不規則ではあるが前後に動かす運動があり、元気もなかった。CBC(完全血球検査)も血液化学検査にも何も異常はなく、神経疾患の鑑別診断の為、MRI検査センターで画像診断および脳脊髄液検査を行ったところ、脳脊髄液には特に異常はなく、MRIでは左側鼓室胞内にたくさんの蓄積物らしいものが存在。当院にて鼓室胞切開術により、鼓室胞内の集積した角化細胞様の物質をきれいに取り去り、内部の洗浄も充分行って、通常の皮膚縫合で終了した。取り出した物質の病理検査では層状角化物質が存在し、真珠腫の疑いがあるとの診断。細菌培養結果では感染原因はActinomyces  spだった。感受性テストの結果により抗生物質を選択、投与し、VB1・6・12を続けた結果、10日後の抜糸する頃にはふらつきや斜頸が改善し、その後は元気が良くなり以前よりも活発になってきたとのことだった。

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