シーズーの実質性角膜潰瘍

7歳のメスのシーズーが目を開けずらいとのことで来院した。

眼科検査では結膜充血が重度で、角膜にも血管新生が見られており角膜には大きなクレーター状となる潰瘍が見られた。
通常フルオレセイン 染色による検査では角膜潰瘍は緑色に染色されるが、このシーズーでは中心部は染色されずにリング状に緑色に染色されており、染色されていない中心部(潰瘍底)がデスメ膜に達していることが分かった。

角膜は4層構造からなっており、そのもっとも表層(角膜上皮細胞)のみの欠損である表層性角膜潰瘍であれば1週間ほどで治癒するが、角膜実質まで及んだ角膜潰瘍では治癒に時間がかかる。特に実質深くまで及んだ角膜潰瘍では角膜穿孔に進行してしまうことがあるため、手術による結膜フラップや眼瞼縫合を行い、それを防ぐ必要がある。
このシーズーでは外科処置は選択せずに、『動物用コンタクトレンズ』を装着する治療を選択した。(下の写真の青い点々がコンタクトレンズ)
コンタクトレンズ装着後1週間ほどで潰瘍は少しずつ縮小して約1ヶ月半で潰瘍は治癒したが、これだけ深い角膜潰瘍であると、角膜実質のコラーゲン配列が乱れることで角膜の透明性はなくなり白く瘢痕が残ってしまう。さらに黒色の色素沈着も残存してしまう。



シーズーやパグなど頭短種では目が大きく、そのために角膜潰瘍の治りが悪く進行してしまうことがあります。
そのためエリザベスカラーの装着はもちろんのこと、頻繁に目薬を滴下していただく必要があり、進行しないか頻繁に目をチェックする必要があります。

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