治療を受けていましたが、2ヶ月前から下痢気味で血便が時々出ていて治らなかったというゴールデンレトリーバーです。上は腹部のレントゲン写真ですが、下行結腸というところが常に狭窄していることが分かりました。 |
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試験開腹と腸のバイオプシーを兼ねた開腹手術をしたところ、左の写真で結腸の壁が非常に硬く肥厚している部分がありました。中央の写真はこれを切除して腸の内側を見ています。これは如何にも悪性腫瘍と思われる肉眼所見でしたが、病理組織検査で血管や凝固系に異常が存在し、虚血性腸炎となり、慢性経過で腸壁の肥厚および糜爛と潰瘍を起こしたのではないかという病理医の所見でした。右の写真は脾臓にいくつもの黒っぽい腫瘤が突出して、いつ破れてもおかしくないような部分もあったため、脾臓の摘出も行なった。脾臓に関しては多発性出血と結節性過形成と言う良性のものでしたが、放っておいたら破れて急死するところでした。 この例は本人が以外に元気で、食欲も最近までそこそこあったので、油断してしまった様ですが、体重も減少し、来院時は血便もかなりひどいものでした。術後は経過が悪く、はじめから腹水が溜まっていて腹膜炎を既に併発していたこともあり、播種性血管内凝固症候群(DIC)という合併症がおこり、残念ながら助けることが出来ませんでした。1週間以上下痢が続くのは慢性下痢ということになり、単純な下痢ではないことを知っておいて下さい。
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