7月1日と2日の二日間、ニューオータニホテル東京にて日本獣医がん学会が開催された。メインシンポジウムは膵臓の腫瘍で初日は骨の腫瘍についてだった。骨の腫瘍はやはり、犬種や年齢、症状のある部位などが大変役立つが、画像診断や細胞診、そして病理組織診断で確定診断ができるため、これらが大変有用になる。また膵臓の腫瘍については人に多い外分泌膵由来の膵管癌、また腺由来の腺腫や腺癌がある。犬では内分泌由来の腫瘍が多いが、ベーター細胞由来のインスリノーマに遭遇する機会が多い。その他にα細胞由来のグルカゴノーマおよびδ細胞由来のガストリノーマなどがある。犬のインスリノーマは数例治療した経験があるが、外科切除が基本となるため、CT検査が必要となる。しかし、すでに周辺リンパ節に複数転移していたり、肝臓にも転移が認められたりすることが多く、できるだけ多くの腫瘍を切除し、肉眼では見えにくい腫瘍の取り残しに対しては、ストレプトゾトシンあるいはトセラニブを使用することで、生存率の延長が確認されている。もちろん外科手術の前に内科的な治療や食事療法が大切なことは言うまでもない。今回のインスリノーマの外科で浅野先生の術中血糖値モニターのコツをお聴きしたことが大変勉強になった。