当院は横須賀のベースの方やその関係者の海外の方が頻繁にいらしております。数日前、あるアメリカ人の飼い主様が猫の健康診断に連れてこられました。この方はベースの戦艦の艦長の奥様です。昨年の1月に初診で来られ、1年以上前からあった皮膚病が、数ヶ月間のうちにさらにひどくなり、薬を飲ませても治らないと言うことで来院してきました。被毛の培養や皮膚のバイオプシーの結果、皮膚アレルギーと真菌というカビの一種が原因した皮膚病でした。また肝臓の病気が根本的にあった為、根気の要る治療になり、結果的に3ヶ月くらいで治りました。この飼い主の方は外国人には珍しく、ご自分が仏教徒で日本人と日本が大好きだと、いつも旅行や色々なお寺のお話をしてくれました。また一年近く治らなかった猫の病気を3ヶ月で完全に治してくれたと、ゆっくりの英語と身振り手振りで 待合室でお待ちになっている方たちに、説明しておりました。そして来院する度に待合室にいる人に自分から話しかけ、あなたの猫ちゃんどうしたの?から始まり「彼は名医でBESTな獣医だから、あなたの猫ちゃんも大丈夫よ」と言って下さるのです。この方は6月初めに佐世保に転勤することになり、5年間勤務の後、またどこかの国に行くことになるそうです。佐世保に行かれる前の健康診断に来られたわけです。実は3月11日の大震災の日に丁度当院の待合室にお友達といらしていて、初めてあの大きな地震を体験したわけです。その後一旦佐世保に非難していましたが、その間も頻繁にお見舞いのメールをいただき、心配していただきました。また私からは猫ちゃんの治療や健康管理についてのご指導もさせていただきました。その後は昨年のクリスマスに元気な猫ちゃんを診せに連れていらしたことがありましたが、それから暫くぶりに転勤の知らせと健康診断のために今回来院した訳です。久しぶりにお会いしたため、大変感動して喜んでいただきました。そして猫の診察が終わった後、お別れに普通の日本的な挨拶とアメリカ人的挨拶(ハグ)をしましたが、奥様は涙を浮かべながら、またメールをしますから必ずお返事を下さいね、と言う言葉でお別れを致しました。
アメリカの方達は非常に素直に良いものは良い、悪いものは悪いと正直に言葉に出します。私は英語に堪能ではありませんが、時間をかけて簡単な言葉で相手が分かっているかどうか確認しながら、検査や治療を進めていくやり方を自然体でやっております。もしかしたらそんな一所懸命なところが気に入られたのかもしれません。飼い主様との良い関係を保つにはやはりお互いの信頼関係にあると思います。特に海外の方は言葉だけではないお互いの心と心の理解が非常に大切だと感じました。