先日、飼い主の方から以前他院で亡くなった猫さんについてのセカンドオピニオンを求められ、1時間以上かけて今までの経緯を伺ったり、私の意見を述べたりしました。お話を伺ってまず感じたことは獣医師の説明不足です。治療に関しては決して間違った治療をしていませんし、検査や診断も的を得ていました。ただわずかな治療期間で検査結果が悪化したことで、自宅治療に切り替えた若い勤務獣医師の判断と退院時の院長の意見が異なっていたことによる飼い主の方の不安が1つ。そしてもう1つは別の病院に転院して入院治療した際の検査結果と治療内容の説明がその獣医師から十分成されていなかったことにより、院内で死亡した原因の説明が飼い主に理解し難いものになってしまったということです。その病院では検査を毎日のようにしていたので、その都度その変化について説明していれば、死因は心筋炎の合併によるものというのは明らかだったでしょうし、理解も得られたのではないかと思います。
我々獣医師は常に飼い主の方とコミュニケーションをとり、十分な説明をし、今後の治療方針などを相談しながら、飼い主の方の納得の上、治療を進めて行きます。若い獣医師は経験を積んで成長していきますが、初めは勉強ばかりで”頭でっかち”になってしまう傾向があり、コミュニケーションをとるのが苦手な先生も少なくありませんので、我々先輩獣医師がインフォームドコンセントの重要さや丁寧な説明に心がけるような指導をしていく必要があると、今回の件でなおさら痛感致しました。